それでも目指しますか?
はじめに
2023年人気資格ランキングというのを目にしたところ
第1位は「簿記検定」、第2位に「公認会計士」がランクインしていました。
学生の人気資格ランキングでも「公認会計士」は第2位と人気の資格となっています。
参照:資格の学校TAC
公認会計士という言葉を聞くと、資格を取るのは難しく、もしなれたら高給取りであるなど「エリート」のイメージではないでしょうか。
では実際はどうなのでしょう。
難関試験を通り抜け、いざ資格を取りその仕事をはじめた人たちは満足をしているのでしょうか。
公認会計士になって良かったと思っているのでしょうか。
人気資格の「公認会計士」を目指そうとしているみなさん!
ちょっと待ってください。
現実をよく知った上で公認会計士になるかを考えてください。
ここではそのヒントとなる内容をお伝えいたします。
第1章 公認会計士になるには
第1節:公認会計士とは
公認会計士とは企業の財務情報の監査・会計のスペシャリストです。
公認会計士法 第1条
公認会計士は、監査及び会計の専門家として、独立した立場において、財務書類その他の財務に関する情報の信頼性を確保することにより、会社等の公正な事業活動、投資者及び債権者の保護等を図り、もつて国民経済の健全な発展に寄与することを使命とする。
引用:日本公認会計士協会
主な業務としては
- 監査業務:企業の財務諸表の内容を確認し、信頼できる書類であると証明する業務で、公認会計士だけができる独占業務です。
- 税務・会計・経理業務:研修を受ける必要がありますが、税理士としての業務も行えます。
- コンサルティング業務:税務や会計の専門知識を活かして、企業のコンサルティングをすることも可能です。
公認会計士は専門性の高い資格の1つです。
第2節:公認会計士にはどうしたらなれるのか
公認会計士になるための資格は国家資格となります。
受験資格は特になく、誰でも受けることができる試験です。
試験は年に2回あります。
試験方式は、短答式・論文式の2段階試験となっており、短答式試験の合格者が論文式試験を受験できるとなっています。
引用:マナビジョン https://manabi.benesse.ne.jp/shokugaku/job/list/056/howto/index.html
第2章 公認会計士の現実
第1節:公認会計士はこんなことまでするのか
公認会計士の仕事は、決して楽ではありません。
こんなことまでするのか4選!
① 激務
公認会計士の資格を取り、どの仕事に就くかで変わってくるところもありますが、
働く場所として多い、監査法人であれば、「繁忙期」と「閑散期」とがあります。
「繁忙期」はクライアントの企業によるのですが、3月末決算企業であれば4月〜5月上旬、12月末決算であれば1月〜2月上旬となります。
その時期の業務量は、月の残業時間が100時間を超えるくらいであるとお考えください。
残業100時間というのは、1日8時間労働×21日=168時間のところ、
100時間÷21日=約4.7時間。よって1日5時間近く残業をするということです。
9時〜18時までの勤務で考えると、23時まで仕事をする日々が続くということです。
② 企業の会計不正による代償
また監査という業務は、第三者として公認会計士が企業の財務情報を検証し、その正しさを保証するための業務となります。
よって、クライアント企業が会計不正を行ったなどとニュースになれば、それは公認会計士が監査でなぜ見抜けなかったのかと問題視されてしまうこともあります。
自分たちが問題なく監査業務を遂行したとしても、そのようなニュースになってしまえば、他の企業に対し、信用をなくしてしまうということにもなりかねません。
知ったことではない!では済まされない代償が待ち受けているのです。
③ 現場での確認
また監査というと机上での業務ばかりであるように思いますが、実際は不正がないかどうかを現場に行って確認をするということも多々あります。
例えば、在庫数が何かおかしいと思えば、クライアントの倉庫にまで出向き、在庫確認をするなどもします。
こんなことまでするのか!という確認事項も生じます。
④ 事務作業
・ 郵便物などの大量の宛先確認や封詰め作業
・ 資料の誤字脱字チェック、形式の整え
・ データの集計作業
特に新人は難関を乗り越え、いざ会計士の仕事!と意気込んで入ってきても、すぐにはクライアントをつけさせてもらえるわけでもなく、このような事務作業をすることが多くなります。
実際には就職したところや担当したクライアントにより異なるため、誰もが「こんなことまでするのか!」と思うわけではありません。
第2節:公認会計士の本音
- 難関試験を突破し受かっても、すぐに就職できない
公認会計士試験に合格するためには、3,000時間以上の学習時間が必要といわれています。そこまで努力をして難関と言われる試験にやっと合格をしても、先にも述べましたが、すぐに就職できるわけではありません。
公認会計士になるには、試験合格後も一定の研修を受けなければなりません。
さらには2年間の実務経験(監査法人や公認会計士事務所か、一定規模の企業の経理担当者として勤務)も必要です。
難関試験を突破し受かっても正式な資格が得られるまでの道のりは遠いのです。
- 労働環境が悪い
提出期限が絶対のため、繁忙期は残業を余儀なくされます。その残業はいわゆるサービス残業が正当化されてしまっているのが実態です。
ただこのサービス残業に関しては、監査法人でも「働き方改革」を進めており、解決をしていこうと動いてはいます。
- 仕事がつまらない
すぐに担当につけさせてもらえるわけではないため、事務作業が多く、仕事がつまらないという状況に陥りがちです。
第3章 公認会計士になって後悔した4選
① 思っていたほど高収入ではない
公認会計士の平均年収は684万円で、会計事務所などのうち従業員1,000人以上の企業では837万円です。
また性別で比べてみると、男性の平均年収は767万円、女性の平均年収は509万円です。
参照:国税庁 民間給与実態統計調査
仕事内容など激務を考えた時に、この収入が良いと感じられるのか、感じられないのかは人それぞれではないかと思います。
② 人間関係の大変さ
公認会計士の業務は、クライアントあっての仕事となるため、人を相手とする業務でもあります。
監査に限らず、コンサルタントでも相手を指摘しなければならない場面がでてきます。
クライアントとの人間関係がうまくいっていないと、その指摘をするということもかなりきつい業務となります。
指摘をすることで「嫌われ役」になり、理不尽な対応をされてしまうこともでてきます。
だからといって指摘を怠れば、不正が発覚し大きな問題になってしまうなど公認会計士としての役目を果たせないとなります。
③ 常に勉強をしなければならない
不正がないようにチェックし、クライアントを指摘する立場でもある公認会計士は、難易度の高い試験に合格すればそれで安心ではありません。
公認会計士になってからも幅広い監査の知識と高い能力が要求されます。
また知識や能力だけではなく人間性やコミュニケーション力も磨いていかなければなりません。
業務が忙しい中でも自分が学ぶ時間も確保しなければなりません。
④ 仕事がつまらない
公認会計士の業務というのは、簡単に言えばチェックです。
よって、単調な作業が多く、同じような作業ばかりを繰り返すということもあり、面白みがないとも言えます。
仕事は単調、クライアントからは嫌われ役、こんな仕事やってられないなと思う人も少なくはありません。
今は人手不足で引く手あまたと言われている公認会計士ではありますが、最近では急速なAI技術の普及により、公認会計士の業務はAIに奪われるのではないかとも言われてきています。
勉強をするために大金を費やしたり、膨大な勉強時間をかけたりし、難易度が高い試験に合格したにも関わらず、監査法人に就職できない可能性も出てくるかもしれません。
まとめ
公認会計士になるための国家試験の難易度は、大学受験でいう偏差値74と言われ東大レベルにと言われています。
また合格率は約10%前後となっています。
よって公認会計士試験に合格するために必要な勉強時間は約3000〜4000時間と言われています。
例えば、税理士は2500時間、簿記1級は約500〜600時間と言われており、人気資格の中でも多くの勉強時間を必要とします。
その時間をいつどう確保をするのか、それによりますが受験期間は1.5〜2年で考える人が多いようです。
引用:スクールセレクト
そして何度も言いますが、試験に合格をして終わりではありません。
その先もあります。
そこまで時間と労力、お金をかけて資格を取り、公認会計士を目指しますか!
決して、公認会計士になることを否定しているわけではありません。
ただ公認会計士になるからには、後悔をて欲しくないのです。
公認会計士になるにはそれなりの覚悟が必要であるということをここでわかっていただき、ぜひ日本の発展の担い手として「公認会計士」になっていただきたく思ってお